学生フォーミュラ大会の沿革
始まりはアメリカ。1981年でした。1981年とは自動車生産台数で日本がアメリカを抜いた翌年です。一連のものづくりの衰退を危惧したアメリカはこの大会を始めました。学生達が1台のフォーミュラスタイルのレーシングカーを作り、競うというものです。最初は4台。翌年は9台となり、そして2005年は160台が参加し、東西に分かれて2大会が行われるほどの一大イベントとなりました。現在ではアメリカに続き、イギリス(1998〜)・オーストラリア(2000〜)・日本(2003〜)・イタリア・ブラジル・ドイツと開催国が広がり、国際的な大会となりつつあります。詳しくは米国Formula SAEのページをご覧ください。
全日本学生フォーミュラ大会
日本ではアメリカに遅れること20数年、2003年9月に第1回日本大会が開催されました。時は異なるものの、日本でもかつてのアメリカと同じくものづくりに対する危機感が募る中始まりました。第1回大会の参加チームは17。2006年度には50チームにも上る大きな大会にとなっています。
この日本大会は自動車技術会が主催し、産官学含めた多くの支援のもと行われています。自動車技術会によると、大会のビジョンは大きく分けて3つ。@技術者育成、Aリーダーシップを持った自動車技術会の活動、B産学官連携詳。活動している学生の立場から見て、「まさに」と感じられるその大会理念を抜粋しておきます。詳しくは全日本学生フォーミュラ大会の公式HPでどうぞ。 私たちは、全日本学生フォーミュラ大会(詳しくはコチラ)に出場するための
・エンジン600cc(YAMAHA YZF-R6)
・全長3m、幅1.5m、高さ1.2m
・重量250kg
という小型のフォーミュラカーを製作しています。車両の企画から設計・製作・テスト、そして渉外等に至るまで全てを学生が協力し合って行っています。小さな製造会社のような印象もありますが、一人の人間が製作を含めた全ての活動に関わるという意味においてはベンチャーに近いものがあります。
| 大会理念 | ||||||||
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大会の概要
日本大会は年に一度、9月に静岡県のエコパで行われます(今年の開催日程はコチラ)。競うのは速さだけではありません。製作した車両を用いた4種類のタイムアタック(動的競技)に加え、静的競技と呼ばれる走り以外のエンジニアリングを競う競技が3種類あります。
| コスト審査 | 車両製作にかかるコストを人件費を含めて考え、いかにコスト削減に対して取り組んだかを競う。 |
| デザイン審査 | 外観だけでなく設計全体に対する審査。 |
| プレゼンテーション審査 | 自分たちの車両をプレゼンテーション形式で売り込み、そのスキルを競う。 |
| アクセラレーション | 0-75m加速性能。 |
| スキッドパッド | 8の字旋回。 |
| オートクロス | 1周約1kmのコースのタイムトライアル。 |
| エンデュアランス・燃費 | 22kmの耐久走行でのタイムトライアル・燃費計測。 |
競技の詳細
★ コスト審査
コスト審査は4つの審査に大別されます.
まずは提出書類であるコストレポート.
各部品の材料,加工工程,図面,領収書などをまとめて提出します.
YJ-R05では小さな部品一つに至るまですべて図面を書き,300ページを超える大部を作成しました.
続いて車両価格審査.
車両をどれだけ安く作れたか,という審査です.
YJ-R05の車両価格は上限である$25,000に20,000円だけ足りない金額でした.
アルミフレーム,プリプレグ製カウルを使ったことを差し引いても,高価です.
というよりもレーシングカーを作るにはこれくらいお金がかかると考えるのが妥当なのでしょう.
当日の審査では2つの項目に関して審査されます.
まずは,車両設計におけるコスト管理の考え方.
車両を安く作るために,コスト面でどのような工夫をしてきたか,を問われます.
きちんと考えていれば大丈夫なんですが,考えていないと審査員の方を前にしどろもどろになってしまいます.準備は怠らないように.
そして最後にいわゆる8分の2と呼ばれる審査.
レギュレーションに定められた部品の製作工程を調べて発表するというものです.
これはコストレポート内に記載できないような購入部品の工程を本当にわかっているかを審査されるものです.
以上4つの審査で合計100点を競います.
★ デザイン審査
文字通り設計に関する審査です.
事前に提出するデザインレポートを元に当日の審査が進められます.
デザインレポートは4枚の文書と3枚の三面図,そして1枚の文書を補足する図表の計8枚からなるレポートです.
一貫したコンセプトに従い,各部品で何を考えて設計を行ったか,どのような検証を行ったかを記述します.
当日の審査はこれを元に審査員の方からの質問に答える形で進めていきます.
特に実験や解析による車両の評価などが重点的に評価されます.
上位5校はデザインファイナルと呼ばれる決勝で得点を競います.
ちなみにYJ-R06ではデザインファイナルに出場することができました.
150点を競います.
★ プレゼンテーション審査
チームがフォーミュラマシンの企画会社であり,これを製造会社に作ってもらうため,製造会社の意思決定者に対してプレゼンテーションを行うというシチュエーションで審査が行われます.
車両企画の背景,意図,車両の魅力,販売戦略,利益予想などが問われます.
チームによってはモックやパーツを持ち込み,プレゼン会場で審査員に提示して自チームの車両をアピールしているところもあります.
審査員によって評価のポイントが異なり,販売戦略を前面に押し出して高得点をたたき出すこともあれば,逆に車両コンセプトのアピールが少ないと減点される場合もある非常に難しい競技です.
相手の表情をしっかりと見て,臨機応変に対応する能力が求められます.
75点を競います.
★ アクセラレーション審査
0-75mの加速性能を競います.競技は2ドライバーがそれぞれ2アタック行います.
タイムは光電管によって計測されます.
車両は光電管の約0.3m手前で停止し,そこからのスタートとなります.
エンジン性能はもとよりドライバーのシフト操作が鍵となる,ドライバーにとっては最も度胸のいる競技です.
ちなみに直線ですので,基本的にコースアウトはありませんが,YJ-R03の公式記録には1本目のアタックにOC(Off Course)と記載されています.
これは、今までの大会の中でも唯一の記録です.
75点を競います.
★ スキッドパッド審査
旋回性能を競います.競技は2ドライバーの2アタックとなります.
タイムはトランスポンダによって計測されます.
コースは直径15.25mの円を中心間距離18.25mで設置し,幅3mのコースが8の字型に設置されます.
ドライバーは8の字の中心からコースに進入し,右側の円を2周,続けて左側の円を2周走行し,進入口と反対側から脱出します.
タイムはそれぞれの円を1周し終えたところから計測が始まり,円を脱出したところで終了します.
シャシーの性能がもっとも試される競技です.
50点を競います.
★ オートクロス審査
1周約1000mのコースを2ドライバーが2アタック行います.
タイムはトランスポンダによって計測されます.
ストレート,コーナー,ヘアピン,スラローム,シケインなどによる複合コースの走行となります.それぞれの規定は以下の通りです.
ストレート:両端にヘアピンをもつ60m以内,ないし出口にコーナーを持つ40m以内.
コーナー:直径23mから45mの範囲.
ヘアピン:最低直径9m.
スラローム:7.62mから12.19mのスペースを置いてパイロンを設置
コース幅:最小3.5m
平均速度は40km/hから48km/hとなるよう設置されます.
車両の全体的な性能,ドライバーの技量などが試されます.
なおファステストタイムの125%以上のタイムを記録したチームには一律7.5点が与えられます.
150点を競います.
★ エンデュランス・燃費審査
オートクロスとほぼ同じコースを逆走する競技となりますが,規定はオートクロスよりも若干ゆるめに設定されています.
平均速度は48km/hから57km/hを想定.最高速度は105km/が想定されています.
2ドライバーが合計22kmを走行します.
途中のドライバー交代には3分与えられます.
2車両が同時走行するため,パッシングポイントが設けられます.
走行順はオートクロスの結果で決まり,オートクロスの結果を持たない大学はアクセラレーション,さらにスキッドパッドという順で走行順を決定し,上位校からの走行となります.
ただし,この走行順は大会主催者によって前日に突然変更されることがあり,第4回大会ではオートクロスの11位校から20位校が走行した後,1位校から10位校が走行しました.
また,エンデュランス走行時には燃費の計測も行われ,走行前と走行後に燃料タンクが満タンになります.走行後の給油量によって燃費が計測されます.
車両性能はもとより,耐久性,ドライバーの集中力なども総合的に問われる,大会の華とも言うべき競技です.
合計で400点を競います.
第1回大会から第6回大会での大会結果が全日本学生フォーミュラ大会オフィシャルページでご覧になれます。






